冬眠するブラックホール | 東京大学

www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/press/z0310_00026.html
東京大学情報基盤センターの三木洋平助教、筑波大学計算科学研究センターの森正夫准教授、尾道市立大学経済情報学部/国立天文台の川口俊宏准教授の研究グループは、Oakforest-PACS(オークフォレストパックス、注2)等のスーパーコンピュータを駆使し、銀河衝突と銀河中心ブラックホールの活動性の謎を世界で初めて明らかにしました。銀河中心ブラックホールは、これまで銀河衝突により激しく活動すると信じられてきました。衝突によって銀河円盤の物質が中心に落下し、ブラックホールに落ち込むことでその活動にスイッチが入ります。しかし銀河衝突が中心で起こった場合、事態は全く異なります。矢が正鵠を射ぬくがごとく、中心に衝突した銀河がブラックホール周辺のガスを持ち去ってしまい、エネルギー源を失ったブラックホールは活動を停止し静かに眠りにつくのです。

原始ブラックホールと多元宇宙が予言するダークマターの探索 | Kavli IPMU-カブリ数物連携宇宙研究機構

東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) の Volodymyr Takhistov (ウラジーミル・タキストフ) 特任研究員や大学院生の杉山素直 (すぎやま すなお) さん、高田昌広主任研究者らをはじめとする Kavli IPMU の研究者とカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究者からなる国際共同研究チームは、宇宙初期の加速膨張であるインフレーション時に出来た「子」宇宙が、その後にダークマター候補の一つである原始ブラックホールになったとする理論を提唱。
さらに、この理論で示されたシナリオが、ハワイのすばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラ Hyper Suprime-Cam (HSC; ハイパー・シュプリーム・カム) を用いた原始ブラックホール探索の観測で検証できることを示しました。この理論研究に基づいた追観測が本格的に始められており、観測の面から原始ブラックホール形成の謎を解く手がかりが得られると期待されます。
本研究成果は、米国物理学会の発行する米国物理学専門誌 フィジカル・レビュー・レター誌 (Physical Review Letters) のオンライン版に2020年10月30日付で掲載されました。
www.ipmu.jp/ja/20201224-PBH-multiverse