ヒト生殖細胞の運命決定機序を解明―転写因子のみによる生殖細胞の誘導 | ASHBi ヒト生物学高等研究拠点

京都大学高等研究院 ヒト生物学高等研究拠点(WPI-ASHBi) 斎藤通紀 拠点長(兼:大学院医学研究科教授)と京都大学iPS細胞研究所 小島洋児 特定拠点助教らのグループは、精子や卵子の元となる始原生殖細胞への分化を誘導できる遺伝子を特定しました。
本研究グループでは、これまでにヒトのiPS細胞を用いて、試験管内で生殖細胞発生を再現する系を作製し、どのような遺伝子が関わっているか、を探索してきました。これまでにEOMES遺伝子を始め、SOX17遺伝子、TFAP2C遺伝子、BLIMP1遺伝子の発現がないと生殖細胞に分化できないことを発見し、モデル動物としてよく用いられているマウスとは異なる機序であることを明らかにしてきました。
ところが、本研究でこれらの遺伝子の発現だけでは生殖細胞に分化しない、ということを突き止めました。そこで、どのような遺伝子が発現していることが十分条件か、を探索しました。その結果、GATA3遺伝子、あるいは構造の類似したGATA2遺伝子をSOX17遺伝子、TFAP2C遺伝子とともに発現することで、始原生殖細胞へと分化が開始することを発見しました。この発見により、生殖細胞への分化の進行を制御する因子が明らかになり、生殖細胞発生の遺伝子制御のネットワークを解明する基盤ができました。
本研究成果は、2021年2月19日に国際学術誌「Life Science Alliance」にオンライン掲載されました。

ashbi.kyoto-u.ac.jp/ja/news/20210219_research-result_saitou/

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